万能感について考えてみる

先日会社の後輩(入社2年目)がいま、チームの中でもかなり重要な顧客を任されているだけでなく、その他にも多くの仕事を抱え、仕事が回っていない日がここのところしばらく続いていました。

そしてあることがきっかけで、2人でいろいろと話す機会があったのですが、こんなことを言っていました。

 

「私、よくばりなんだとおもいます。あれもこれもやりたい気持ちが強いんです。だけど仕事のスピードもまだまだ遅いので、仕事がまわらなくなって、周りにご迷惑をおかけしているのだとおもいます」

 

私が所属する会社では、働く上で現在、様々な制約があります。休業日の一定数取得や、残業ができないなど、働きたくても思ったように働けないという環境です。そんな中で、周りの先輩や同期はうまくやっている(ように見える)のに、自分はうまくできていない、と思っているとのことでした。

 

このとき、私自身が思ったのは、自分にもこんな時があったな〜ということです。

 

私も新卒で今の会社に入社して以来、3年くらいはずーっと、自身の持てる時間をとことんインプットして、任された仕事はすべて完璧に仕上げてやるんだ!と思ってました。が、もちろん途中で力尽き、仕事を抱え込みすぎて結局周り(上司や同僚)に迷惑をかけて、「あいつぜんぜん仕事デキないヤツ」と思われるような存在でした。

そしてこともあろうか、何を勘違いしていたのか、今でも恥ずかしく思っているのですが、自分が仕事できない(結果を出せない)ことを、周りのせいにしていたんですね。つまり、「誰も助けてくれないこの環境が悪いんだ。」「何も教えてくれない上司が悪いんだ。」「いい人に巡り会えなかった自分がかわいそうなんだ。」というように、思ってたんです。

素直に「できません」とも言えず、周りに頼ることができていなかったんだ、と今振り返ると思えますが、当時は「できない自分」を正面から受け入れられなかったんですね。このときの自分は、「自分はやればできる。本気出せば大丈夫だ」という、必要以上に強い「自己肯定感」、というよりむしろ、強い「万能感」に囚われてたんだなあ、と思い出しました。

 

皆さんには、「万能感」を持っていた時期はありましたでしょうか?

私は上述の通り、根拠のない「万能感」で仕事をして散々失敗していました。

多かれ少なかれ、若い時にはこの「万能感」がある方が多いのではないかなーと思い、この文章を書いています。

 

この「万能感」というのは、調べてみると、

自分が願ったことは何でも叶うという思い込み

のことを言うそうです。

そしてこれを乗り越えるためには、

・〜ねばならない思考をみつけること

・瞑想

が効果的、と言われているようです。

 

この「万能感」は、自己肯定感をバランスよく持っていれば、悪くない存在だと思うのですが、冒頭の後輩のように、自分自身の首を締めることにも繋がりかねないと思います。

ここからは個人的な意見にはなりますが、これを乗り越えるために大事なことは、2つあると思います。

 

1.トレードオフで考える

リソースには限りがありますよね。お金、人脈、時間・・・。

たとえば、「17時から2時間、会社で残業をする」のと、「18時に家族と夕飯を一緒に食べる」というのは、同時に手に入れられないですよね。どちらかひとつしか選べない方がほとんどかと思います。

「仕事をがむしゃらにがんばりたい」という思いと「家族との時間を十分に持ちたい」という思いは、どこかで折り合いをつけなければならないわけですね。

「同期と旅行に行きたい」けど、「自分の勉強に投資もしたい」場合、両方手に入れようと思えば、お金も時間も膨大に必要となり、手に入れられたとしても、その分のお金や睡眠時間を日常生活においては相当抑える必要が出てくる、ということも想像できます。

要は、「あれもこれも」と考えていても、両方手に入れられないことだってある、ということ。

すなわち、限られたリソースの中で、何を選び何を諦めるのか、に向き合う必要があると思います。それはつまり、自分にとって何が一番手に入れたいものなのか?と向き合うことにもつながります。

 

2.生産性を重視する

インプットできる時間やお金などのリソースに限りがあるなら、その中でいかにアウトプットの質や量を高められるか、が大切になってきます。

つまり、生産性を上げられるかどうか、という意識が大事になってきます。

リソースが限られているということはつまり、1人だけでできることには限りがある(=1人だけではできないことがある)ということを、受け入れる(諦める)ことが必要です。

その上で、アウトプット(成果)を高めるためには、人に頼ることが重要になってきますし、どうすればその人達の助けを得られるのだろうか、と考え行動することも大事です。

自分で考えてやってみる→結果はどうあれそこで気づきを得る→改善してやりなおす→気づきを得る・・・ということを繰り返すうちに、同じインプットだとしてもアウトプットを高められるようになる=生産性が上がっている状態に、なるのではないかと思います。

 

少し話はそれますが、稲盛和夫さんが著書の中で、

「成果=方向性×能力×熱意」

ということをご紹介されていました。

この中で一番大事なのは、「方向性」だと考えます。

能力や熱意(やる気)は、0〜100だとしても、方向性は−100〜+100まであるからです。

能力、やる気満々でも間違った方向に向かってその力を使ってしまったら、成果はあらぬ方向に出てしまいます。

つまり、どこを向いて働くのか?が自分の判断軸に影響を与えるのであり、それが自身の行動につながるのだと思います。

 

「万能感」は言い過ぎかもしれませんが、「よくばり」を乗り越えるには、とトレードオフと生産性の2つの意識が役立つのではないかと思いました。

 

おしまい

 

 

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