ブックレビュー 『営業はいらない』三戸政和

今の営業マンにとっては、これから次の3つの力を伸ばすことが大切だと思います。


①全体を俯瞰し自分も周りもマネジメントする力。

②皆がWin-Winになるような、バランスのとれた行動力。

③生産性を向上するために発揮すべきリーダーシップ。


手を動かして作業するのではなく、プロジェクト全体がうまく行っているかどうか把握すること。

そして周囲とコミュニケーションを取りながら、バランスを程よく保ちいい関係性を築き上げること。

また生産性を高めるには、長期的な視野や計画性、リスクテイクする判断力が大事になるはず。


この本の内容は次のようなものです。

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今や500万円の車でさえ、ワンクリックで買う時代であるにもかかわらず、いまだに多くの企業が新規顧客獲得のファーストコンタクトを「飛び込み営業」と「テレアポ」に頼っている。しかしそのテレアポの成功率は1%以下だ。人口減少の今の時代、世界はテクノロジーを活用しつつ「営業不要」で成功し始めている。営業の現在、そして未来について一緒に考えてみよう。

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自分自身、旅行会社でBtoB営業を10年以上やってきて、営業マンに求められるもの、理想とされるモデルが変わってきてることを感じます。


かつては、足で稼ぐ時代と言われ、朝10時になったら支店内にロッキーのテーマソングが流れ、数字が足りなければひたすら飛び込みセールス。17時までは帰社できないなんてザラだったと聞きます。

切符1枚でも喜んで配達に行って(手元に残るコミッションの何倍もの交通費、そして貴重な時間をかけてお客さんのところに通って)、「信頼関係を築くため」とか「熱心さを伝えるため」とか、冷静に考えるとただの時間泥棒行為に思えることが、「できる営業マン」の条件でした。


それがこの10年の間に、課題解決型・提案型営業がメインになってきて、仮説検証、課題抽出を行うことで、提供するサービスは同じ旅行でも、顧客にとっての価値を高める営業スタイルが重要視されてきました。マーケティングも営業も、添乗も精算もぜーんぶ営業マンがやるのが当たり前。方向性はよく理解できるしなるほどと思うんですが、これ、パーフェクトにできる営業マンは10年やってきて1人しか見たことない。そのくらい、たぶん理想すぎて自分含め社員の能力が追いつかないものを追いかけてきたんだなーと思います。


そして今やこのコロナ時代。足で稼ごうにも移動は制限され、課題抽出しようにもお客さんと会って話を聞くこともままならない時代になり、果たして今の仕事からどうステップアップするか、と考えていた頃に、読んだ本です。


筆者は、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の著者で、そのタイトル通り「経営者になる」こと、すなわち「営業職から離れ自ら戦略を立てられる地位につく」ことを提唱しています。そして、経営者においては、「エクスペリエンス思考」が大切なんだ、と。つまり、顧客の感動体験を想像してらユーザーのエクスペリエンスを追求した商品を形にできれば、国民総メディア化の時代においては、ムダな営業はなくなる、ということです。


それはそれで、なるほど確かに、と思うことは多々あります。ですが、この内容をもうすこし自分に身近なところで考えて、今の営業マンがこれからステップアップしていくために必要なことを、私は冒頭のように考えました。


筆者の言う通り、営業はいらなくなるとおもいます。そしてすなわち営業支店や営業に関わる人もこれから大幅に減っていくと思います。なぜか?それは、営業を構成する多くの要素が、テクノロジーに取って代わられるようになるからです。


後方社員がやってる電話やメール対応は、このコロナ時代を経て一気にAI化が進み、チャットボットが基本搭載になってくると思います。そうなると、今たとえば8人いるチームは、融通の効くような、人間力の高い2〜3人が選抜され残りはどこか別の場所に配置されるかもしれません。


リマインドしたり、社内書類の重箱の隅突く指摘をするような、管理するだけの課長はあと3年以内には淘汰されるようになると思います。だって、今でさえセールスフォースがリマインドしてくれるし、社内書類もテンプレートが出来上がればあとは使い回しで済むわけです。


営業マンがいない間に、AIが顧客に適切なタイミングで適切なサービスを提案することも、プログラムさえすれば出来そうです。


となれば、営業の未来を考えよう、とある筆者からのメッセージに対して、自分なりの意見を述べるなら、冒頭の3つの力が必要なのではないでしょうか。